よるのおわり

日々を愛でる

フェロー紀行 1-3日目

春の休暇で保育園も休みになるので海の果ての島へ。すいすい進み、飛行場でコーヒーを購入して朝ごはん。そして、ここで、昨夜つけた漬物を持ってくるのを忘れたことに気づく。ショック。気を取り直して、朝から飛行機に乗り、2時間で到着。霧がかって視界が悪く、しかし、すでにフィヨルドの鋭くごつごつとした地形が見えて楽しい。
どんな感じなのか事前情報がほとんどなかったこともあって、旅程には余裕を持たせている。しかし持たせすぎたらしくて、これから夕方のフェリーまで7時間をつぶさなければならない。ひとまず路線バスに乗って街まで移動し、スーパーでお買い物。島には商店がないので、2日分の食料を購入しておく必要がある。スーパーに並んでいるものはデンマークとあまり変わらず、選択肢は少なく、しかし値段は2割から5割ほど高い。デンマークで食料などを買っておいてスーツケースに詰め、バスに乗って港まで行って午前のフェリーで島に渡ってしまうのが最適解だったなと思う。
スーパーの向かいのカフェに入り、ブランチを頼んでゆっくり食べて時間を潰す。Lが飽きてきてしまい、2時間が限度。店を出ようとすると大粒の雨が降り始め、数十分待つ。雨が上がったところをフェリー乗り場まで歩いて移動。干潮の浜辺の景色が美しい。待合室などあるかと思ったらそんなものはなく、かろうじて開いていた港の商店のイートインに陣取る。雨が降ったりしつつ、時間を潰して、雨が降るなか16時半にフェリーに乗り込む。
乗客はほかに地元の人がふたりで、波の荒い海を進んでいく。陸地は岩がちで砂浜のような場所はなく、こんなところで海に落ちたら助からないだろうなと思う。数十分後に到着し、代わりに乗り込んでくるたくさんの観光客を横目に、切り立った崖の船着場を見上げた。長い階段の横にはウインチの巻き上げ機があり、荷物はこれで上げ下げするのだった。自動車が走れる道路は島になく、バギーカーのような四輪でスーツケースを宿まで運んでくれるとのこと。
崖がちな景色の美しい島を歩き、宿に到着。案内されたのはこじんまりとしたDIY風の一軒家で、内装はかわいらしく、暖かく、居心地が良さそう(実際とても良かった)。キッチンにも設備がひと通りあり、買ってきた食材で晩ごはん。緯度が高いので陽が落ちるのは遅く、21時をすぎても明るかった。ハシゴをおろしてロフトに登ってみんなで眠った。

翌日は母屋に朝ごはんに。昨日のカフェレストランでも出てきたけれど、ニンジンの入った外側カリカリのふわふわパンがおいしい。品数は少ないけれど、物資をすべて外から持ってこないといけないことを考えると納得。やり手感の漂うオーナーが見張っているようで、あまり落ち着かない。
食べた後に山のほうに歩いていくも、曇りで空気が冷たく、登るにつれて風も出てきて、Lがだめになってしまった。崖の直前まで行けたし、まあいいかと引き返す。暖かい家の中でお茶を飲み、少しするとお昼の時間。この頃には午前のフェリーが到着し、観光客も大勢(というほど大勢でもないけれど、フェリーの席の上限の最大85人)やってくる。家の中からみんなが見える。
午後はお昼の勢いのままに外に出て、丘を登り、先ほどの方向まで。朝とうってかわって陽が照り、ぽかぽかして暖かい。コートを1枚脱ぐ。日本やデンマークではまず見ないような景観を楽しみながら、羊の赤ちゃんにアテレコをして遊んだりしつつ、ぐるりと朝の道まで合流して帰ってきた。家の中で遊び、夕飯を食べ、翌日のプランを考えたりしつつ、たくさん歩いたのでばたりと眠った。

翌日も同じ朝ごはんを食べ、疲れが出たのでみんなで二度寝。ガイドツアーに申し込んでいたのだけれど、いまいちどこへ行けばいいのかよくわからない。フェリーのつくお昼前に起き出し、チェックアウトして荷物を母屋に置かせてもらい、みんなで船着場に行く。違うガイドについていってしまったりしつつ、あなたのガイドはあの丘の上ねとオーナーに言われて合流。ガイドといっても全体的な注意事項と見にいく方向を示されるだけであとは放っておかれ、これなら入島料だけで良かったのではという気分になる。
それで、灯台のほうに進む。Lは帰りたいと文句を言い始め、抱っこしたりグミをあげたりしながらなんとか目的地まで。途中からどんどんパフィンが増えていき、目的地では、絶景を後ろにして、すぐ数メートル前を座ったり飛び立ったりしているのが大量に見えた。昨日さんざん探し回ったのに、みつかるところにはこんなにいるのである。ここだけ風が吹かず、気持ちのいい春の陽もさしていて、山の上なのにLは眠ってしまい、しかたないのでお昼にする。ただただパフィンを眺めるすばらしい時間。交代で崖を降りて灯台のほうに行ってみるものの、これはL連れでは危険すぎたなと思う。崩落でどちらにせよ灯台までは行けないようだし、まあしかたない。
Lが起きて帰りたいと言い始めたので下山。意外と時間が経っており、帰りのフェリーまで1時間くらい。母屋の向かいにあるブランコでLは遊び、その途中にヘリコプターが着陸したりもする。帰りはフェリーが混み、観光地ということもあって子連れへの親切さもあまりないような感じだったので、早めにフェリー乗り場に移動。
帰りのフェリーでもLは眠ってしまい、最後に船を降りて徒歩で宿に向かった。意外と遠く、坂道もあったりして、ついた頃には疲れてしまった。スーパーに寄ったけれど、物価が高いのに閉口。一軒家を改修した感じの安普請の宿で、床はきしみ、壁は薄く、シーツはゴワゴワで、あんまりよく眠れなかった。フィヨルドを臨む景色だけがきれいだった。

f:id:tsutatsutatsuta:20230509150542j:image
f:id:tsutatsutatsuta:20230509150547j:image
f:id:tsutatsutatsuta:20230509150537j:image